あきらめなくてもいい

ブログ

2023年11月26日

日本一の義肢装具メーカー「川村義肢株式会社」を訪問しました。
事故や病気で体の一部を失った方の、義手義足、乳房などを一人一人に合わせて製造販売されている会社です。他にも障害を持つ方々をサポートする製品を多数製造、パラアスリートのスポーツ用の義肢装具も手掛け、パラリンピックで金メダルを獲得する選手も生み出しています。

手や足を失っても、麻痺が残っても、「スポーツをしたい」「旅行に行きたい」「好きな人とデートしたい」という希望を、やりたいことを、命を燃やして生涯を生きることを、「あきらめなくていい」を提供していらっしゃいます。

多数の製品の製造や様々な取り組みは、従業員からのアイディアも多く、従業員自らが、障害を抱える方のサポートを色々な方面から勉強し、提案し、実践しているのです。

なぜこんなにもやる気に満ちた従業員が多いのか、社長の川村慶氏にお話を伺い、そして出版されている書籍「不自由を自由に変える魔法の仕事(PHP出版)」を拝読して分かりました。

この会社では、経営理念や行動指針を従業員と深く共有し、その上で、仕事は本人に任せています。それぞれが自分の責任の範囲で、お客様のために必要だと思うことを自由に行います(社長は「放牧経営」とおっしゃっています)。社長はその最終責任を取るという姿勢です。

毎朝の朝礼や輪読会で社長と従業員が想いや考えを共有し、従業員一人一人が経営者マインドを持ち、仕事に挑んでいます。仕事の判断基準は、お客様と従業員が幸せになるかどうかです。たとえお客様が幸せになっても、従業員に大きな負担がかかるような仕事はしません。

それは、創業者である社長のおじい様、川村一人氏の「働く人が幸せでなければ、お客様を幸せにすることはできない」という強い想いからきています。働く人が働く幸せを感じながら仕事をするから、お客様にいいものを提供できる。だから、経営者はまず従業員を幸せにしなくてはならない。

その想いを受け継ぎ、3代目の川村慶社長は、令和に入り、経営理念を「私たちは健全な企業活動を続け、全ての社員と家族を幸せにし、社会の進歩発展に貢献します」と改められました。以前は「ソウルパートナーとお客様のQ.O.L.向上をあきらめない」でしたが、お客様のことを考えない従業員はいないため、あえて書く必要はなくなったからです。ちなみに、ソウルパートナーとは従業員のことです。なぜそう呼ぶのか、従業員みんなが共同経営者であり、ともに自己実現に励む同志だからです。しかし社外の人には分かりづらいため、「社員」に改めたそうです。また、Q.O.L.=Quality of life(生活(生命・人生)の質)も、分かりやすく「社会の進歩発展」と変えられました。

また、この会社では、障がい者雇用についても積極的に取り組んでいます。
多くの会社が人材不足に悩みながらも、障がい者の雇用については二の足を踏んでしまっているのが現状です。
一言で障がい者といっても、その様態は多種多様であり、身体障がいであれば比較的就職はしやすいものの、知的障がいは敬遠されてしまいがちです。
けれど、この会社では知的障がい者の方も活躍されています。

障がい者を雇用する上で大切なことは、まずはその障がいの特性について学ぶことです。その人の障がいを知り、その対応の仕方について社内で共有すれば上手くやっていくことができます。さらには、能力を最大限活かす仕事をしてもらうことで、会社全体の生産性の向上も期待できます。
「知的障がい者の方はめっちゃよく働いてくれる。遅刻も欠勤もない。また、他の従業員との間でシナジー効果も生まれる」と、川村社長はおっしゃっています。

川村義肢㈱のグループ会社であるパシフィックサプライ㈱では、障がい者雇用を考えている会社のサポートも行っています。
自社でのリアルな取り組みをベースに、障がい者が働きやすい職場環境作りや、障がい者雇用の成功・失敗例などの「知識と理解」を増やすサポートをしていただけます。

踏み出すには勇気がいると思います。
私自身は、障がいを持つお子さんを育てる親御さんと交流する中で、皆さんが、五体満足に生んであげられなかった罪悪感と、自分の死後その子が生きていけるのかという不安を、ずっと抱えて生きていることを知りました。その思いを少しでも取り除ける世の中になってほしいと感じています。全ての人に障がいを持って生まれてきた可能性があり、また、障がいを持つ子供を産む可能性もあるのです。決して他人ごとではなく、自分のことにおきかえ、社会全体の課題として、皆で助け合いながら、少しずつでも進めていけることを願います。


川村社長に初めてお会いしたのはあるセミナー会場でした。早朝にもかかわらず、とてもパワフル、笑顔の中にも眼光は鋭く目力は強く、強いエネルギーを発していて、とにかく圧倒されたことを覚えています。「先代のカリスマ社長のようには自分はなれない。そこで従業員一人一人に経営者マインドを持ってもらう放牧経営を考えた」そうですが、私からみると、川村慶社長も圧倒的なカリスマリーダーです。
それはきっと、大変な勉強と研究と努力を積み重ね、31歳での社長就任をプレッシャーを感じる間もなく疾走されてきた結果なのだと思います。

今回の訪問は、離職率の低下を課題としている多くの会社さんへの取り組み、また、障がい者雇用の問題に尽力したいと考えている私にとって、とても大きな学びとなりました。

親切丁寧に対応していただいた川村義肢株式会社の皆様、川村慶社長、心より御礼申し上げます。有難うございました。

Contact

お問い合わせ